9/24(日)に公開講座「太田道灌 山吹の里」が開催されました。

テーマは亭主幼少の頃から思い入れのある「太田道灌」。
今回は中級の会員様が亭主役に挑戦され、太田道灌公に献茶のあと、
皆様に平点前で一服お召し上がりいただきました。
掛け軸、お道具の取り合わせなど大変、趣が深い茶席となりました。

図1 図2
「太田道灌」は、室町時代後期の武将で、無類の戦上手と言われます。
三十数回に及ぶ合戦でほぼ不敗を誇り、世の流れが徐々に下剋上へと傾いていくなか、
最後まで自らの立場と忠義を貫いた生き様はまさに武士の理想像です。

文化面、経済面、政治面においてもマルチな活躍をみせ、日枝神社や湯島神社など、
彼が関わったとされている神社や寺院は関東各地に50近くも存在しています。
また、道灌は築城の名人ともいわれます。
かの「江戸城」も、のちに徳川家康が増築し江戸幕府の主城にまで
発展しましたが、礎を築いたのは道灌でした。

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今回のテーマに掲げられた「山吹の里」については、こんな逸話があります。

ある日のこと、鷹狩りに出かけた道灌が、突然の雨に会い
「すまないが蓑(みの)を貸して欲しい」と民家に駆け込んだところ、
出てきた少女が黙って山吹の花を差し出しました。
意味がわからなかった道灌は怒り、濡れながら雨の中を帰りました。

ところがその夜、家臣から
「七重八重 花は咲けども 山吹の 実の一つだに 無きぞ悲しき」
という歌があることを聞かされ「蓑(実の)ひとつとない貧しさ」を
山吹の花に例えた少女の意図を知り、「自分は歌道に暗い」と自らの不明を恥じて、
その後歌道に精進するようになったといわれています。

この度の主茶碗は「孤雁(こがん)」、吉村楽入作の白楽です。

図3
道灌が後土御門天皇に拝謁した際「武蔵野はどんな所か」と問われて返した歌
「露おかぬ 方もありけり 夕立の 空より広き 武蔵野の原」に由来します。
「空より広い」と勇壮な表現で答えた道灌。

香合1香合2
写真のとおり、香合(こうごう)にも見事に表現されています。

茶杓においては、ご銘「黒猫(くろねこ)」。
道灌が戦で敵に追われ、あわや命を失わんときに一匹の黒猫が逃げ道を案内したという逸話にちなみます。
九死に一生を得た道灌は、江戸の恩ねこ「たま」として、猫達を、後々まで愛護するようになりました。

茶杓
茶杓は亭主自ら、黒檀を用いてご自作なさったそうです。
かい先が猫の手の様な形になっているのがお分かりになるでしょうか。

主菓子は川越菓舗の「道灌まんじゅう」。
川越城は別名「初雁城」と言われますが、一説には築城祝いで開いた宴の折に
初雁が来て鳴いたことから道灌が命名したとも言われています。

図5
干菓子は、鳥取 悠の落雁「桔梗」。
紋様となっている桔梗は、秋の七草でもありまさに適時となりました。

図4
亭主役の会員様は、茶道のお稽古をはじめて2年ほど、熱心に通われていらっしゃいました。
茶会を開催するにあたって時間をかけて下調べされ、お道具やお菓子をお選びくださったので、
香合、茶器(棗)、茶杓、茶碗など、一つひとつにまつわる歴史や、道灌作の和歌について
ご紹介いただき、実に内容の濃い学びある時となりました。

ご参加いただきました皆様、ありがとうございました。

次回の公開講座は11月26日(日)14:30~、
テーマは「みかんの美味しい季節によせて」。
二十四節気は「小雪」七十二候は「橘始めて黄ばむ」の候です。
季節に添えて一服差し上げますので、次回もぜひお出かけ下さいませ。