6/12(日)に茶道部による公開講座が行われました。
鈴木翠鏡先生と唐澤翠静先生による季節のお点前と
問答をお楽しみ頂き、毎回大好評の公開講座。
今回は「短冊箱」を使ったお点前ということで翠静先生が
お母様を偲んでお詠みになった紫陽花の歌を主題に
厳かな中にも温かさを感じるお席となりました。
短冊箱とはお茶を点てるのに必要な茶器を入れる縦型の箱です。
野点ではお軸を飾ることが出来ないので、代わりに短冊を楽しめる
ようにと安土桃山~江戸前期の茶人、金森宗和が考案したものです。
公開講座でも、亭主役の翠鏡先生が蓋を裏返されると、
内から歌の書かれた短冊が登場致しました。
水指とお棗はともに子どもの頃に親しむ手毬の柄。
翠静先生のご出身である長野県にも松本手毬があるそうです。
床の間のお花は「紫陽花」なのですが、よく見ると
葉と枝しか入れられていません。
「歌の紫陽花の種類が分からなかったので葉だけ入れました。」と仰る翠鏡先生。
思い出のお花をお心の中で咲かせて下さい、というお気遣いなのです。
すると、翠静先生が振り返って見せて下さった帯にはなんと紫陽花が・・・。
今日このお席ならば、とお母様がお作りになった帯を
久方ぶりにお召しになっていたのです。
最後には茶杓のお名前「蛍狩り」から幼少の
思い出話までお伺いすることが出来ました。
お点前を拝見したあとは和やかな雰囲気の中
会記を手元に和歌やお道具のお話を伺いました。
翠静先生がお茶うけに、とお手製の梅の砂糖漬けを
お持ち下さり、爽やかで優しい味わいに季節を思う
ひとときとなりました。
亭主役の翠鏡先生は、翠静先生がお手土産に梅を
お持ち下さるとお聞きになって、花入れには梅の枝と
紫陽花の葉をご用意されたそうです。
お茶の世界のお心遣いと自由さを楽しませて頂きながらも
学びの多いお席でございました。
ご参加頂きました皆様、ありがとうございました。
「紫陽花の 庭を眺めし 亡き母の 思い出の椅子 陽だまりの中」