炉開きと亥の子餅について

はやいもので11月も後半ですね。

茶道では11月の「炉開き」を境に、茶室の中でお釜を置く位置が変わります。

寒い時期になるので、お客様の近くに「炉」を置いてお湯を沸かし、
少しでも温まっていただこうという心遣いなのです。
(炉についてはこちら

さて、その炉開きに合わせて、11月によく頂くお菓子があります。
「亥の子餅」というのですが、ご存知でしょうか?



見た目は餡子入りのふつうのお饅頭に見えますが、
あんを包む皮に雑穀が入っているのが特徴です。

亥の子餅の起源は古く、紫式部の「源氏物語」にも登場します。

亥の月の亥の日(11月にあたります)に亥の子餅を頂くと
無病息災でいられる、といわれ、元々は大豆、小豆、胡麻、栗等の
雑穀を入れた餅をついたそうです。

また、陰陽五行説で「亥」が水性に当たることから、この日に
囲炉裏やこたつを開いて、火鉢を出し始める風習ができました。
「水」の日に火を使い始めることで、火災を逃れようとしたのです。

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翡翠流では毎年「ちもと」さんの亥の子餅を頂いています。
白ごまが練りこまれているので香ばしく、格別のお味です。


公開講座「太田道灌 山吹の里」を開催致しました!

9/24(日)に公開講座「太田道灌 山吹の里」が開催されました。

テーマは亭主幼少の頃から思い入れのある「太田道灌」。
今回は中級の会員様が亭主役に挑戦され、太田道灌公に献茶のあと、
皆様に平点前で一服お召し上がりいただきました。
掛け軸、お道具の取り合わせなど大変、趣が深い茶席となりました。

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「太田道灌」は、室町時代後期の武将で、無類の戦上手と言われます。
三十数回に及ぶ合戦でほぼ不敗を誇り、世の流れが徐々に下剋上へと傾いていくなか、
最後まで自らの立場と忠義を貫いた生き様はまさに武士の理想像です。

文化面、経済面、政治面においてもマルチな活躍をみせ、日枝神社や湯島神社など、
彼が関わったとされている神社や寺院は関東各地に50近くも存在しています。
また、道灌は築城の名人ともいわれます。
かの「江戸城」も、のちに徳川家康が増築し江戸幕府の主城にまで
発展しましたが、礎を築いたのは道灌でした。

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今回のテーマに掲げられた「山吹の里」については、こんな逸話があります。

ある日のこと、鷹狩りに出かけた道灌が、突然の雨に会い
「すまないが蓑(みの)を貸して欲しい」と民家に駆け込んだところ、
出てきた少女が黙って山吹の花を差し出しました。
意味がわからなかった道灌は怒り、濡れながら雨の中を帰りました。

ところがその夜、家臣から
「七重八重 花は咲けども 山吹の 実の一つだに 無きぞ悲しき」
という歌があることを聞かされ「蓑(実の)ひとつとない貧しさ」を
山吹の花に例えた少女の意図を知り、「自分は歌道に暗い」と自らの不明を恥じて、
その後歌道に精進するようになったといわれています。

この度の主茶碗は「孤雁(こがん)」、吉村楽入作の白楽です。

図3
道灌が後土御門天皇に拝謁した際「武蔵野はどんな所か」と問われて返した歌
「露おかぬ 方もありけり 夕立の 空より広き 武蔵野の原」に由来します。
「空より広い」と勇壮な表現で答えた道灌。

香合1香合2
写真のとおり、香合(こうごう)にも見事に表現されています。

茶杓においては、ご銘「黒猫(くろねこ)」。
道灌が戦で敵に追われ、あわや命を失わんときに一匹の黒猫が逃げ道を案内したという逸話にちなみます。
九死に一生を得た道灌は、江戸の恩ねこ「たま」として、猫達を、後々まで愛護するようになりました。

茶杓
茶杓は亭主自ら、黒檀を用いてご自作なさったそうです。
かい先が猫の手の様な形になっているのがお分かりになるでしょうか。

主菓子は川越菓舗の「道灌まんじゅう」。
川越城は別名「初雁城」と言われますが、一説には築城祝いで開いた宴の折に
初雁が来て鳴いたことから道灌が命名したとも言われています。

図5
干菓子は、鳥取 悠の落雁「桔梗」。
紋様となっている桔梗は、秋の七草でもありまさに適時となりました。

図4
亭主役の会員様は、茶道のお稽古をはじめて2年ほど、熱心に通われていらっしゃいました。
茶会を開催するにあたって時間をかけて下調べされ、お道具やお菓子をお選びくださったので、
香合、茶器(棗)、茶杓、茶碗など、一つひとつにまつわる歴史や、道灌作の和歌について
ご紹介いただき、実に内容の濃い学びある時となりました。

ご参加いただきました皆様、ありがとうございました。

次回の公開講座は11月26日(日)14:30~、
テーマは「みかんの美味しい季節によせて」。
二十四節気は「小雪」七十二候は「橘始めて黄ばむ」の候です。
季節に添えて一服差し上げますので、次回もぜひお出かけ下さいませ。


公開講座「白秋(はくしゅう)を前に」を開催致しました!

8/27(日)に茶道部による公開講座が行われました。
今回のテーマは花寄せ、「白秋を前に」です。

「白秋」とは古代中国の五行思想「青春、朱夏、白秋、玄冬」からきており、
春は青(青春)夏は赤(朱夏)秋は白(白秋)、冬は黒(玄冬)をいいます。
元は五行なのでもう一色(黄)があるのですが、四季にあてはめることが
できないので、四季それぞれのお終いにある土用の期間に「黄色」を
あてはめているようです。

今回のテーマ「花寄せ(はなよせ)」とは、茶席に集われた皆さんで
床に置かれた様々な花入(はないれ)に、順々にお花を入れ込む式のことです。
全体を見極め、前の方が中央の花入れを選ばれたならば次の方は
右へ、また次の方は左へ、とバランスよく入れていきます。

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まずは正客の先生が中央の瓢の花入れに。

次客の方からは、花入れを選び、中央に据えてある花材の前に進みます。
入れる花を何種類か選び、花入れの前で一礼、左手に組んで、生花に
手のぬくもりが伝わって花が傷まないように、素早く入れます。

昨年は、色鮮やかに夏の彩りを表現しましたが、今年は葉の緑と
清楚な白い花だけで、凛とした神秘的な世界を描き上げました。

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一巡目は皆様、難なくこなされました。
男性の方は、やはり大胆に、それぞれの個性が光ります。
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二巡目は、メインとなるお花や花材も少なくなり、限られた中で
描かなければなりませんので、たいへん勉強になります。

今回の点前は、オランダ焼きの水差しの上に葉蓋(はぶた)。
茶碗は、河村又次郎の白の窯変、茶杓は、白の牙。
こちらも葉蓋の緑に、白の景色を描き出します。

干菓子は銘菓「しほがま」。仙台駄菓子本舗 日立屋製です。
菓子器は真塗四季花文皿。
お皿の漆黒とお菓子の白の対比がとても映えます。
主菓子は和菓子屋”ちもと”の「水ぼたん」でした。

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ご参加頂きました皆様、ありがとうございました。
それぞれの想いを込めて入れて下さった茶室、見事な景色となりました。

次回の公開講座は9月24日(日)14:30より行います。
テーマは「山吹の里」、太田道灌公の御霊にお茶を差し上げます。
いかなるお話しが背景に隠れているのでしょうか、楽しみですね。

それでは、次回もぜひお出かけ下さいませ。


公開講座「翡翠神社 夜祭」を開催致しました!

7/23(日)に行われた茶道部による公開講座の様子を開催致しました。

今回のテーマは「翡翠神社 夜祭」、亭主をご担当下さった会員様が嗜好をこらして
翠庵をお祭りのような賑わいにしつらえて下さいました。
夜祭らしく照明も落として、いつもと違った雰囲気を醸しています。

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まず、床に掛かりましたのは、お軸の変わりに「法被(はっぴ)」。
お花の代わりには「綿飴」と「風車」が飾られました。

花
竹の結界には桃色や黄色に発光する提灯飾りを巻きつけ、
天井からは和紙で作られた提灯をお祭りのやぐらのように飾り付けました。
(「結界」とは場所の境界のことです。茶道では様々な道具を「結界」に見立て、
実際には仕切られていない空間に、境界を作り出します。)

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お道具の取り合わせは、茶碗にカラフルなかき氷のガラスの器。
建水(けんすい)には涼やかな「金魚鉢」を見立てています。
水指(みずさし)にはもちろん釣瓶を用い、冷水点てで、冷たい抹茶を差し上げました。
茶杓は銘を「兎瑞」。
なんとこの日の為にご自作で、竹の茶杓に飴細工で兎の飾りを作り上げた力作でございました。

主菓子は鶴屋吉信の「宵花火」。

主菓子
干菓子には、清閑院の「京てまり」。
金魚すくいで使う網(ポイ)をあわせ、縁日のカラーボールすくいに見立てて菓子器から取り分けます。
なんて斬新な趣向でしょうか。

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さらに書院窓のところには、書道の斉藤翠房先生がお描き下さった茶屋辻の風景画が・・!

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普段は静寂な翡翠の翠庵がまるで別世界、
縁日に出かけたような夏の夜祭りの風情に満ち溢れていました。
ご参加下さいました皆様、ありがとうございました。

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またこの度は、「浴衣を美しく着る!」和装とのコラボイベントで
「補正」と「帯結び」をテーマに一回完結で浴衣の着付け講座も開講。
10名以上の方が浴衣のお稽古から続けてご受講下さいました。

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亭主も講師陣も浴衣姿でお出迎えし、皆さまの着姿が色とりどりで
まるでお花が咲いたかのようなお席となりました。

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ヒスイの和装では、お稽古の際に着物や帯などお貸し出し致します。
予備知識が必要では、と敬遠されがちな着付けも気軽に始められますので、
部門の垣根を越えて色々な学びの世界へ挑戦しみてくださいね!

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次回は8月27日(日)17時半より、テーマは「花寄せ」です。
※いつもと開催時間が異なります。ご参加下さる方はご注意ください。
様々な草木の緑と可憐な白いお花だけの世界を描きあげますので、
次回もぜひ楽しみにお出掛けくださいませ。


私の茶道「茶席で香を聞くpart 2」を開催致しました!

本年より始まった、茶道部安島先生による私の茶道。

前回に引き続き、「茶席で香を聞く」をテーマに行われました。
今回は、香炉の灰を整え、香を焚き、茶席で香を聞く体験をしていただきました。

図1

皆様それぞれ香炉の灰を整え、灰形をつくるところから始まりました。

まず、香炉の灰に、火箸を使い、よく火を起こした香炭団(こうたどん)を仕込みます。
香炭団とは、香炉に用いる燃料のことです。

図2

その後、火箸で灰を中央に掻き上げ、灰押さえで灰を平らにし、
羽箒(はぼうき)で香炉の際をきれいに致します。
重香合の中から香包みを出し、銀葉挟(ぎんようばさみ)で銀葉を置きます。

銀葉(ぎんよう)は、香を焚くとき、香に火気が直接当たらないよう
間接的に加熱するための隔火具の役割を果たします。
香包みの中から、香箸を使い、香を銀葉の上にのせます。

そして、いよいよ、香を聞きます。

図3

作法に乗っ取り順々にお楽しみ頂きました。
ご自身で灰から焚かれた香は、ことのほか愛おしく感じたのではないでしょうか。

最後に薄茶を召し上がって頂きました。
本日の主菓子は、「ちもと」の「遠山(とおやま)」。

図4

今回、香炉の灰形を作っていただいたので、
風炉の灰形の一つ「遠山」にちなんで亭主がご用意いたしました。

ピンと張り詰めた空気のなか、熱心に香りを楽しんだあとは
まろやかなお抹茶がより心に染み入ったのではないでしょうか。

ご参加いただきました皆様、ありがとうございました。
次回の公開講座は7月23日(日)「夜祭」がテーマのお席です。
来月もどうぞよろしくお願い申し上げます。


HISUI TOKYO

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